コラム
コラム 2018.02.28

これだけ冷えては、どうにもこうにも・・・

岩手県釜石のアミエビ生産現場

陽射しだけは春っぽくなって2月が終わります。

今月は大阪でフィッシングショーもあり、業界としては動きの多い月ではありますが、この寒さで魚の活性も釣り人の活性もダウン。去年も結構な寒い2月だったのが、今年は間違いなくそれ以上。強い寒波襲来による船や磯の稼働はますます低下して、随分ゆったりしたものでした。寒くても合間、合間の釣り日和にそれなりの盛り上がりがあればいいのですが、これだけ冷え込んでは水温もウンと低下してお手上げ状態。それを裏付けるような特集が関西のニュース番組で一昨日の夕方に放送され、偶然見ることができたのですが、なるほど納得でした。

「和歌山の海に異変」というタイトルの特集は、田辺沖のダイビングスポットで魚の姿が消え、サンゴの多くが瀕死の状態というもの。通常、この界隈では寒い冬でも14℃くらいが水温の底なのが、今年は12℃くらいまで下がり、日によって11℃台のエリアもあったとの事です。ダイバーによる水中映像にはイガミ、ヒメジ、クマノミなどが死んで海底に横たわり、死んではないものの岩陰でぐったりしているウツボの姿などもありました。元をただせば黒潮の大蛇行に起因するものなんでしょうが、温かい潮が流れて来ないことに加えて、この冬の冷え込みのキツさがダメ押しになったようです。チヌのように低水温に比較的強い魚もいますが、今少し水温が上昇してくるのを待つしかありませんね。陽射しも確実に春めいてきてるので、月がかわれば空気も違ってくるかな・・・。

そんな中、三陸沿岸では今年もアミエビの漁が解禁になりました。22日に始まった岩手県ではまあまあな群れがあるようで、スタートとしては悪くない量が獲れています。昨年はスタートから不漁で、妙なかけ引きと買えなかった時の不安が交錯する中、史上最高に浜値が高騰してしまう荒れ相場でした。今年も序盤は人間の食用に充てられる分の買い付けで、なかなか高価な取引になっています。ただ釣り市場的には、昨年のハイシーズンに商品が足りなくなるはずだったところが、思わぬ台風の連発で在庫の消費が低迷。少し余ってしまう形で年を越したため、商品が無い危機感で相場が上がるような事態は避けられそうとみています。いずれにせよ、先ずは良い状況の漁が続くことを期待しましょう。

写真は岩手県釜石のアミエビ生産現場。和歌山にある弊社工場の女性陣もなかなかの働き者揃いですが、東北の女性も実にパワフル。寒さに耐えられるDNAと強靭な身体は、日本の水産業を支えている宝といっても過言ではないでしょう。