コラム
コラム 2017.02.28

今ある「当たり前」にそろそろ疑問符を

岩手県の加工場での製造シーン

実に冬らしい2月が終わります。

先月からの寒さは今月に入っても変わらず、少し緩む周期をはさみながら、ずっと冬らしい天候に支配されました。日本海側の積雪量は凄まじく、鳥取では波止渡しの渡船が港で係留中に雪の重みで沈んでしまったと聞きますから、前代未聞の降り様だったのでしょう。紀伊半島界隈でも冬型に弱い釣り場は当然のことながら稼働が下がり、出れさえすれば釣れるはずの遊漁船などが随分たくさん休まれてました。ただ、紀東方面など冬型に強い釣り場はそれなりに人出があり、弊社のオキアミ出荷量などもソコソコのレベルに。歴史的に寒いひと月だったことを考えると、何とか恰好はついたと納得せねばなりません。

こんな寒さの先に、どんな一年が待ってるのか想像がつきませんが、海産物に関しては何かが豊漁という話は全くナシ。イカナゴも大不漁の予測・・と言われ出したと思ったら、三陸のアミエビもこれまた心配な様相です。これはかなり前から予測されていたのですが、寒流の親潮と暖流の黒潮がぶつかるポイントが通常よりも大きくズレている関係で、アミエビの湧いてる(であろう)ポイントが相当遠いとの事。岩手沖は昨日(27日)が解禁でしたが、予想されたように魚探に映る影が小さく、水揚げもごく僅か。人間の食用に競り落とされ、養殖、釣り餌業界からの落札はありませんでした。獲れ高が少なければ値も高く、釣り餌相場での買い付けはとてもじゃありません。恐らく漁期を長めにして、少しずつ溜め込むしかないのでしょうが、どこまで獲れるかは全くの未知。去年も不漁で市場の流通在庫もほぼ無い状態なので、本当に獲れず終いになったら、海外産を用立てるしかない状況にもなりそうです。一か月後には今年の見込みについて、ある程度のご報告ができるでしょうからお待ちください。

それと11月末のここで書いておりました「過剰品質」な物流サービスのことで、今月大きな動きがありました。荷物の増え方が余りに急で、運ぶ側が追いつかないというものですが、これも当然のこと。最大手のヤマトさんが「このまま受け続けるのは無理」と公言されたことで、ここしばらくまかり通っている常識に何らかの変化が起こるのは必至でしょう。結局、日本人はやるからには頑張り過ぎるところがあるので、それを受ける側が「有って当たり前」と捉えがちに。運ぶサービスと我々みたいな獲ったものを売るという商売は全く違うものですが、「有って当たり前」と思われてしまうのは全く同じです。弊社も事業でやっている以上、必達せねばならないラインはあるわけですが、世の中の人が資源のこともちゃんと理解をしてくれるにこしたことはありません。自然を相手にしたら当たり前なんてないのが当たり前!そんな常識こそまかり通って欲しいんですけどね。まあ、それぞれの立場、欲望も絡んで、なかなか難しいけれど・・・・

写真は岩手県の加工場での製造シーン。急速凍結された板状のアミエビを一枚ずつ紙製の袋へ。震災にめげず頑張ってくださっている皆さんの労力に感謝です。今年もこんな活気ある工場になりますように。(2015年撮影)